鑑別診断の重要性(当院で、施術していく領域の患者様か否かの判断)を痛感した出来事があった。

4ヶ月まえから、肩関節の痛みがとれないという女性が来院。

初診時の、症状および検査所見は、以下。
・自発痛(関節を動かさなくても痛みがある)
・夜間痛(就寝中、痛みで目が覚める)
・朝方、痛みと共に咳がでる。
・起床時、痛い方の腕を一方の手で持ち上げないと、起きれない。
・最近は、野菜を切るのにも、激痛。
・痛みのために、自力で肩をあげるのも90度位までで、やっとこ。

辛さで、険しい顔と、眉間にシワを寄せ、お話していただいた。

単なる、関節の痛みにしては、経過が芳しくなく、しっくりしない。

整形外科の受診歴があり、問診のみで『五十肩』の、診断。
レントゲン検査は、無く、薬の処方もなし。

内科は、3ヵ所回り、肺のレントゲンをとり、3ヵ所目で始めて「逆流性食道炎」の診断。
しかし、薬を飲んでも症状の改善はなし。

初診は、低周波・肩関節のAKA(関節の整体)
ハイボルテージ(除痛を効果が高い電気治療)
鍼灸施術で様子をみた。

翌日、来院していただき、経過をお伺いしたところ、全く症状に、変化なし。

整形外科の受診歴は、あるが、
・自発痛
・夜間痛
・原因不明の咳
・施術をしても、全く症状に変化なし
が、どうしても気になり、改めてセカンド・オピニオンもかね、
別の整形外科に紹介。

検査の結果は、レントゲン上に「骨融解像」(骨が溶けている)を認め、すぐに、総合病院に紹介。
更なる、検査の結果 「肺癌による、骨転移」の診断。緊急手術となり、
骨へのボルトをいれる固定術および、肺癌に対する放射線治療が開始された。とのこと

後日、患者様から、すぐに病院を紹介してもらったことへの
お礼のお手紙を頂いた。その文面の中に、総合病院の主治医から、「内科疾患を疑った整骨院の先生の勘が素晴らしい」との一文があり、ありがたいと共に、大事に至らなかったことに胸を撫で下ろした。

今回の、症例のポイントは、
①整形外科を受診したとしても、1から検査をすること。
②自発痛、夜間痛の経過の大切さ
③咳などの内科的症状の有無
④迷ったら、すぐに、医師に紹介
である。

当院は、この8月でお陰様で開業12周年。
その、節目に、
『鑑別診断』(当院で、施術していく領域の患者様か否かの判断)の、重要性をひしひしと感じた一例であった。
今後も、初心を大切に
決して「おごり・思い込み」をすることなく、基本を大切にしていきたい。
院長 飯島寿徳
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